心理療法
当院の心理療法
原則として当院にて治療中の患者さまを対象として、予約制として各種心理療法を施行いたしております。

毎週月曜日、火曜日、木曜日、土曜日に実施しております。女性2名、男性1名の臨床心理士、公認心理士、産業カウンセラーが心理療法をおこないます。
 
一般のカウンセリングでは、患者さまの状況や経緯、お困りのことなどのお話を伺いながら、ご本人さまの考えの整理をお手伝いしたり、新しい考え方を一緒に探して行きます。
当院では、まずは心理療法とはどういうものかを知っていただくために、30分枠のカウンセリングも設けております。
 
さらに患者さまの状態に応じて、より専門的な認知行動療法、心理教育、自律訓練法、リラクゼーション法(呼吸法、筋弛緩法)、EMDR(4月より)など各種の個別の心理療法を実施いたします。

なお心理療法には保険診療は適用されず、自費診療となりますのでご注意ください。1回のセッションの費用は下表のとおりです。
各心理療法料金表
【キャンセル・ポリシー】
心理治療の予約日前日までのキャンセルにつきましては無料です。当日のキャンセルにつきましては治療額の半額を申し受けておりますのでご注意ください。
カウンセリングについて
「上司や同僚とうまくいかず仕事へ行く気になれない」「家庭でトラブルが多くて気分が休まらない」「友人がなかなかできない。会話が続かない」「大勢の前だと緊張してしまう」etc…対人関係が発生する様々な場所で、悩んだりストレスを感じることが多々あると思います。ストレスにさらされ続けた方は、気分が落ち込みやすくなったり、ストレスの状況を避けるようになったり、パニック発作が生じたり、様々な症状に形を変えてSOSを出すようになります。
こんなときには、心理士とのカウンセリングによってストレスに対する考え方やイメージを変えること、誰にも話せなかったことを聞いてもらえる事、あるいは誰かに話して整理してもらうことで、もっと気持ちや症状が楽になる方がたくさんいらっしゃいます。
また、社会適応に困難を感じ、なかなか就労できない方々への就労支援施設への紹介なども行います。
30分枠、50分枠の2つの枠組みのカウンセリングを設けております。
認知行動療法について
心理療法の1つで、不快な出来事、状況、対人関係などのストレスに対する考え方やイメージ(認知)に対して働きかける治療です。最終的には、ストレスに対して強くなるためのものの見方や、考え方に変えていくことで治療者の力を借りずにストレスに対処していく方法を身につけることを目的としています。自宅でおこなうホームワークなども治療の一環となっていることが特徴です。
認知行動療法の進め方
初期に患者様のお困りの状況を詳しくヒアリングしながら、カウンセラーと協力して、患者様の抱えている思考のパターンや感情を探り、介入可能な考えや行動について検討します。その後ホームワークを通しての日常での実践、カウンセリングでの振り返りと検討という手順で進められます。このように文章で書くと難しく思われるかもしれませんが、そのために理解を助けるためのわかりやすいツールがあり、そのツールとカウンセラーによる説明により、認知行動療法がわかりやすく理解できるようになっています。
主な対象の方
うつ病の方を対象に始まった心理療法ですが、現在では社会不安障害、パニック障害、強迫性障害、統合失調症など様々な症状に対象が拡大しています。(例:「仕事で失敗した後の落ち込みがひどい」「人前で話すときに緊張してしまうため、そういう状況を避けるようになってしまった」「電車で突然めまいや吐き気のようなパニック発作が起き、以後電車に乗るのが怖くなった」「何度も手洗いを繰り返してしまう」etc…)
リラクゼーション法(呼吸法・筋弛緩法)
心身の自己管理能力を高めることを目的に、心理士による呼吸法、筋弛緩法等のリラクゼーション法の紹介を行っています。ストレスを感じると筋肉は緊張し、不眠や頭痛、腹痛の身体症状の原因ともなります。
日常の緊張度を安定させる目的で用いる場合は、呼吸法、不安時の緊張を鎮める目的の場合は筋弛緩法の紹介をします。リラクゼーション法の紹介と合わせて、心と身体の関係についてもお伝えし、日常生活の中で、身体のサインに気づき、セルフケアができるようになることを目指します。
主な対象の方
パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、心身症、不眠症の方で、日々のストレス・緊張状態によって、不眠・腹痛・頭痛・肩こり・腰痛などの身体症状に悩まされている方に向いています。薬物療法と並行して、ご自分の生活の中でのセルフケアの方法を身につけたい方はご相談ください。
自律訓練法
自律訓練法はリラクゼーション法の一つで、身につけることによって、ストレス反応を自分で予防したり、緩和したりすることができるようになります。特にパニック障害や社会不安障害等の方や心身症の方々にとって、症状の緩和のみならず再発の予防にもなります。
自律訓練法は、「気持ちが落ち着いている」などの簡単な言語を頭の中で繰り返すなど、誰にでも身につけやすいリラクゼーション法であり、練習によって日常生活の色んな場面で実施できるようになります。それゆえに、自分で行えるケア(セルフケア)の方法として優れていると言われています。
当院では認知行動療法の一環としてリラクゼーション法を用いていますが、自律訓練法のみの実施も行います。
主な対象の方
不安障害全般(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、全般性不安障害)、ストレスによる身体症状に悩まれておられる方(気管支喘息、過換気症候群、過敏性腸症候群、心因性嘔吐、耳鳴り、睡眠障害、吃音、多汗症・・・)など、適応の対象範囲が広いのが特徴です。リラクゼーション法と同様に、不安や緊張に由来する身体症状の緩和のためのセルフケアの方法を身につけたい方向けです。
心理教育
心理教育とは、個別の疾病に必要な知識や情報(疾病によって引き起こされる諸問題や諸困難と対処法や工夫)ともに考えることによって、主体的な療養生活を営めるよう援助する方法のことです。
不安障害(パニック障害・社会不安障害・強迫性障害)の改善には、一時的な不安の改善だけでなく、その後不安のマネジメントスキルを獲得していくことが、治療の中で図ることが大切です。自分の病気を理解し、再発予防と再発時のセルフケアを可能にできるように、不安障害の方向けの心理教育を心理士が行っています。
心理教育は、1回のセッションで行いますが、その後継続的に、認知行動療法やリラクゼーション法を希望される方にも対応いたします。
主な対象の方
対象となる疾患は、パニック障害・社会不安障害・強迫性障害です。薬物療法と並行し、疾患のマネジメントスキルを身につけたい方はご相談ください。
ACT(アクセプタンス・コミットメント療法)
通称アクトと呼ばれる、臨床行動分析学に基づいた心理療法の一つで、認知行動療法やマインドフルネスが取り入れられている、第3世代の認知行動療法の中心的な技法の一つです。従来の認知行動療法が、苦痛を感じる考え方を減らしたり、消したりする方向を目指すことに対して、ACTでは、そうした苦痛とともにいかに生きていくか?戦わずにいかに受け入れるか?を考えることが主目的です。

ACTはどのように進められるか?
初期に患者様のお困りの状況を詳しくヒアリングしながら、患者様の抱えている思考や感情が、どのように日常生活を苦しいものにしているかをお聞きします。その上で、皆様の苦痛への対処やコントロールへの努力がどのような結果となっているかを確認します。
*ここまでは従来の認知行動療法のステップとあまり変わりがありません。
その後、苦痛との戦いを手放すことを目標とし、「今、この瞬間」の自分の体験を積極的に受け止めるためのワークを行います。苦痛を感じる考え方を変えたり、消そうとするのではなく、苦痛をよく観察し、苦痛をじっくりと味わい、抱えながら自分自身が主体的に自分自身の価値観に添いながら生きていけることを目指します。カウンセラーは、セラピー内でのエクササイズとホームワークを通して、患者様がご自身でセルフケアができるようにサポートいたします。
主な対象の方
ACTは、うつ病、不安障害などの「疾患」前提ではなく作られています。対象とするのは「言葉のもつ悪影響に振り回されることによって起こる心理的な非柔軟性」が問題となっている場合です。そして、「自分が生きたい(行きたい)と思う方向に向かって人生を歩めているか」を重視します。こころの中の悩み・苦痛にとらわれて、自分自身を生きている感覚が持てない方は、是非ご相談ください。
EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)
EMDRはPTSD(心的外傷後ストレス障害)のようなトラウマによって引き起こされる様々なストレス症状の治療から始まった心理療法です。PTSDに対する有効性が確認されて以来、現在では他の精神疾患、メンタルへルス上の問題、身体的症状など幅広い症状の改善に役立つことが分かっています。辛い出来事のすべてをこと細かく語る必要がなく、比較的短期間で改善するため、精神的負担が少ないことが特徴です。
EMDRの進め方
通常のカウンセリングと同じように、今までの生育歴や、改善したい症状などをお伺いし、患者様と一緒に治療計画を立てることから始めます。症状を引き起こすのは、過去の辛かった記憶が脳の中で適切に処理できていないこと(停滞している状態)が原因と考えられています。そのため、治療計画に基づいて、苦痛の元となる過去の記憶の処理を開始させ、整理し、消化へと促していきます。その方法として、過去の辛かった記憶を頭に思い浮かべながら、左右に振られるカウンセラーの指を目で追うという眼球運動を繰り返します。眼球運動を行うことで、停滞していた記憶が適切に処理され、症状が改善されると共に、本来持っている回復力を取り戻すことができます。なお、1回のセッションには90分を要します。
主な対象の方
PTSD、うつ病、パニック障害、社会不安障害(恐怖症)、強迫性障害などの方の他にも、過去の辛かった記憶(トラウマ的な出来事の記憶や、失敗に対する不安・恐怖など)が現在何らかの苦痛を心身に引き起こしている場合に有効です。
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